インドの不動産業は日々大きな成長を続けている。この業界の専門家達は、インドの不動産に対する需要はあらゆる分野で潜在的に非常に大きいと、確信を持っている。特に、商業用、住宅用、小売用での需要が大きい。
成長著しいアウトソーシング、ならびにIT業界の商業用オフィススペースに対する需要が高まっている。2010年までにITセクターだけで、インド主要都市におけるオフィススペースに対する需要は、およそ1億 5000万スクェア・フィートと推定されている。住宅用不動産に関しては、1940万ユニットの不足が推定されており、このうちの670万ユニットは都市部における不足分である。購買力の上昇と小売区画の整備により、インドの消費パターンに変化が生まれている。その結果、いわゆるBランクといわれる都市部においてですら、小売業のプロジェクトが急増している。小売マーケットは35%の成長が見込まれている。好ましい人口統計、購買力の上昇、消費者よりの銀行や不動産ローン会社の存在、不動産業界内の専門能力、世界中の投資家を引き寄せるため政府が主導する改革等により、
さらなる成長が見込まれると、業界の専門家は感じている。
インド不動産市場に参入する多国籍企業
2005年2月の政府による政策転換で、100%外国資本による建設プロジェクトが急ピッチで認可されるようになった。海外の投資家にとって魅力なのは、インドにおける25%をこえる投資収益で、このような数字を今のアメリカや西ヨーロッパで達成するのは難しい。資産コンサルタントのジョンズ・ラング・ラサールのレポートによると、今後12ヶ月から18ヶ月の間に、海外からインドの不動産セクターに注入される投資額は100億ドルにのぼるという。フィリピンのアヤラ、ドバイのシグネチャー、オックス・ジフ・キャピタル、ユーインディア、そしてオールド・レインといったファンドがインドの不動産マーケットへの参入へ興味を示している。マレーシア、イギリス、アメリカ、イスラエル、そしてsンガポールからの直接投資もかなりの額にのぼりそうである。
業界の消息筋によると、すでに90以上の海外の投資家達がインドに資金をつぎこんでいる。およそ24のアメリカの投資ファンド全体で、インドの不動産投資向けに35億ドルの資金が集められた。この中には、ブラックストーングループ(10億ドル), ゴールドマン・サックス(10億ドル)、シティグループ・プロパティ・インベスターズ(1億2500万ドル)、モルガン・スタンレー(7000万ドル)、GEコマーシャル・ファイナンス・リアルエステート(6300万ドル)が含まれている。その他にも、JPモルガン、ウォーバーグ・ピンカス、メリル・リンチ、リーマン・ブラザーズ、ウォーレン・バフェトのバークシャー・ハザウェイ、コロニー・キャピタル、スターウッズ・キャピタルが、インドの不動産投資向けに資金を集めている。
2007年の中頃、モルガン・スタンレーはムンバイのオベリオ・コンストラクションと、1億5000万ドル相当の取引を行った。ドバイのナクヒール・グループは、インドの各都市における住宅開発のプロジェクトで、DLFと100億ドルの取引の交渉に入っている。さらにこれに続いて3つの金融機関―バーレーンのカリージ・ファイナンス・アンド・インベストメント(KFI)、中東のクェート・インベストメント・カンパニー(KIC), クェート・ファイナンス・ハウス(KFH)―がインド投資向けの2億ドルのファンドをプロモートしている。“インディアン・プライベート・エクイティ・ファンド”と呼ばれるファンドは、成長著しく、かつリスクもコントロールしやすい、不動産のような対象にターゲットを絞っている。これに続いてカルパース(カリフォルニア州公務員退職年金基金)もインドに進出し、IL&FSが運用する4億ドルの不動産投資ファンドに1億ドルの投資を行った。アジアを代表するビジネス・スペース・プロバイダーのアセンダスは、インドの資産に特化した5億ドル相当の不動産投資信託の開発を、2007年7月にシンガポールで不動産開発業者エンバシー・グループと行っている。
不動産市場に進出する金融機関
より高いリターンを求めて不動産に投資を行うインドの金融機関同士の競争は激しい。有名企業が販売する不動産投資ファンドには、HDFC不動産ファンド、DHFLベンチャー・キャピタル・ファンド、コタック・マヒンドラ不動産ファンド、クシティジ・ベンイャー・キャピタル・ファンド(パンタルーン・リテール・インディアのグループベンチャー)、ICIC不動産ファンド、インディア・アドバンテージ・ファンドなどがある。インド証券取引委員会の規制下におかれるこれらのファンドは、クローズドエンド型のスキームをとり、IPOも視野にいれており、現在のネット・アセット・ヴァリューの水準は割安といえる。
タタ・グループはプライベート・エクイティ・ファームのサンダーと手を組み、サンダーのグループ会社アイ・レントを通して、2007年の4月にリテール向け不動産投資ファンドを設立するために10億ドルを集めた。インドの不動産最大手のDLFは、今年の6月にインドでは最大の規模となるIPOで22億4000万ドルの資金を調達した。またDLCはインドの製薬大手のランバクシィのグループ会社フォーティス・ヘルスケアと、15億ドルの投資に相当するインド全域に渡る病院建設にむけたジョイント・ベンチャーの交渉に入っている。一方、HDFCがスポンサーとなっている不動産投資ファンドは、外国からの直接投資の認可を受け、7億9000万ドルを国内市場に注いでいる。また、インディア・ブルズ・ リアルエステートは、12億ドルの資金調達を考えている。
小売業者とショッピングモール
2007年、インドは小売業者にとって最も魅力的な市場と映っている。ATカーニーの最新の調査によると、インドは3年連続で小売業にとって最も魅力的なエマージング・マーケットとなっている。ちなみにロシアと中国がこれに続く。
2700億ドル規模のインドの小売部門のうち、オーガナイズド・リテールは現在4.6%を占めており、これは2007年度には 37% に、2008年度には 42%に成長する見込みであると、インド・リテール・リポート2007は言っている。また同リポートによると、オーガナイズド・リテールは、2010年までに450億ドルのビジネスへと成長する潜在力を持っているという。
これにより、2010年までに2億2000万スクェア・フィートの小売スペースに対する需要が創出される見込みである。業界の推計によると、2700万スクェア・フィートのオーガナイズド・リテール向けのスペースが利用可能である。また2008年までに、263のモールのプロジェクトにより、新たに9000万スクェア・フィートの需要が創出されそうである。これらのうち、1800万スクェア・フィートがデリーとムンバイそれぞれに、9500万スクェア・フィートがルドヒアナに、600万スクェア・フィートが チャンディガーに、360万スクェア・フィートがアーメダバードにそれぞれ創出されそうである。
小売業が好景気を迎えるとともに、インドでは小売向けの大規模な不動産スペースの価格が急騰している。100万スクェア・フィートをこえるショッピングモール向けのスペースが、毎日のように売れている。これらのうちおよそ20のモールは、すでにインド各地で建設工事に入っている。ナショナル・キャピタル・リージョンのユニテック・グレート・インディア・プレイスには100万スクェア・フィートのリテールスペースがある。ムンバイにはガトコパールのRモールなど、100万スクェアフィート規模のモールが少なくとも8つはある。さらに100万スクェア・フィート以上のモールが新たに2つ、ターネーで計画中である。バンガロールでは、少なくとも3つの同規模のモールが開発中である。ルドヒアナには、トゥディ・ホームズによる160万スクェア・フィートのモールが近々誕生する。
市場での競争が激しくなるにつれ、建設会社は差別化をはかって独自の分野への特化を始めている。専門店を集めたショッピングモール、デザイナーズ・ブランド、複合型映画館が、買いもの客に人気の施設である。ニュー・デリー郊外のグーガオンには宝石店を集めたモールがあり、カーディーラー専門のモールも近々完成予定である。バンガロールには家具専門のモールが誕生する。海外からの観光客にターゲットを絞った2つのモールが、人気の観光地ゴアとウダイパーに完成するが、コストはそれぞれおよそ2200万ドルである。また家具専門のショッピングモールがカルカッタのエルジン・ロードに誕生する。さらに、インド最大のアミューズメントパーク、ノイダエンターテイメントシティ(E-City)がおよそ150エーカーの規模で完成する。ディスカウントモールの数も増えている。大手の不動産会社と地元の小売チェーンが地域ごとにモールの開発を進めており、ここではプレミアムブランド商品が通常の3割から4割引で販売される予定である。少なくとも50のディスカウントモールが今後2年間にインド全域で誕生する見通しであり、これらは中産階級から富裕層を対象としている。
好景気にわく小売業の次のトレンドは何か。リライアンスリテール、フューチャーグループ、ブハルティ・ウォルマートは、巨大リテール・ストア建設のためアーメダバードの土地買収を進めている。
世界最大のモール、モール・オブ・インディアはDLFユニバーサルによる開発で、NH-8沿いの32エーカーの敷地に巨大な娯楽施設とタウン・スクェアを持ち、トータルなショッピング機会を提供する。
チェンナイは海外の不動産投資ファンドに注目されており、最近では2つの大きな取引が行われた。AIG不動産ファンドとRMZコーポレーションはギンディーの11エーカーの土地を6億8690万ドルで、シャイム・コサリはIDBIの2.5エーカーのボート・クラブを4300万ドルで購入した。
小売業者の多くは現在店舗を構えている都市の中での拡張とともに、インド国内の他の都市での開店を望んでいる。小売業の中で最も好調なのが家具とインテリア、スポーツ用品、そしてこれらに続くのが、デパート、宝石、食品関連の小売業である。
この10年間でグルガオン、ノイダ、ファリダバードといったこれまでぱっとしなかった地域が魅力的な住居へと変わる一方で、これらの都市は人気を集め、中産階級の平均をこえてしまった。当然、ハイデラバード、コチン、チェンナイ、コインバトール、プネといった都市での住宅開発のチャンスも大きい。
例えばムンバイの南東160キロに位置するプネは、工学や自動車産業の西インドにおける拠点であり、主要なITセンターとして成長している。ソフトウェアの開発パークが広がるにつれ、高級アパートメントに対する需要も急増している。ムンバイや海外から移住してくる専門家に加え、広くて便利な環境の整ったところに住みたいという年配の人々が、家を売って移り住んでくるケースもある。開発業者によると、超高級住居は1ユニットで231964ドルから463929ドルへ急騰している。
もし2006年が、インド国内で最も大きな土地取引が行われた年として記録されるのなら、インドは不動産のゴールド・ラッシュという未来へ向かっていると言えるだろう。
*IBEF(India Brand Equity Foundation)は、世界市場でのインド企業のブランドイメージ向上のためにインド政府と産業界が共同で設立した団体である。
Translated by BeH Life







