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インドのITマーケット
Oct 15, 2007 | IBEF業界レポート

    インドは世界で最も急速にITハブとして成長してきた。その要因は、カスタムアプリケーション開発及び管理(CADM)、システム統合、ITコンサルティング、アプリケーション管理、インフラ管理サービス、ソフトウェアテスト、サービス指向アーキテクチャー(SOA)、ウェブサービスといったITソフトウェアやサービスである。

 ITサービスに目を向けてみると、現在では世界中がインドに注目している。ナスコム(Nasscom)社の調査によると、2006年度のインドのIT産業の成長率は、目標の27%を大きく上回る30.7%を記録し収益は396億ドルに達した。2007年度は24−27%成長し、収益額490−500億ドルが目標とされている。インドのIT産業はグローバル産業となり、二桁成長を続けているのだ。

 2006年度のサービス及びソフトウェア部門は、国内では23%成長して収益82億ドルを得る一方、輸出は33%の成長を見せ、314億ドルの収益を得た。ITサービスのみに限れば、成長率は35.5%であり、収益は180億ドルであった。ナスコム社の作成したITソフトウェアサービス輸出企業ランキングによれば、現在の上位3社は、TCS、インフォシーズ(Infosys)、ウィプロ(Wipro)であるが、インフォシーズの価値は2006年度に38%上昇し、76.8億ドル規模に達したとのことである。

 「潮流の高まり:IT産業の産出と雇用の繋がり(原題“The Rising Tide- Outputs and Employment Linkage of IT-ITeS”)」と題されたナスコム-CRISIL(Credit Rating Information Services of India, Ltd.)レポートによると、ITセクターで国産の商品やサービスに対する支出1ルピーが2ルピーの産出として経済に流入し、またITセクターで創出される一つの仕事にたいして、他のセクターでも4つの仕事が生まれるということである。

2010年には輸出額は600−750億ドルに達すると予想されており、ITセクターの経済全体への影響は1150億ドルになると試算されている。更には、直接あるいは間接的な影響も含めて、今後3年間で1100万人の雇用を創出するとのことだ。情報技術産業は、過去10年間で10倍に成長した。1997年度には産業規模は48億ドルであったものが、2006年度には478億ドルにまで成長したのだ。


インドIT:更なる高みへ
・ITソフトウェアサービス産業の上位10社の輸出額は2006年度には150億ドルであった。データクエスト(Dataquest)社の産業調査によれば、TCS、インフォシーズ、ウィプロの上位3社がそのうちの87億ドルを占めているとのことだ。
・AMI(Access Markets International)パートナーズ社の調査によると、中小企業(従業員1,000人未満)のITインフラ向上のための支出は、2006年度の65億ドルに比べて24%上昇して80億ドルとなった。
・トップ企業は2006年度の公共部門への出費が27%増加し、15.8億ドルになった。
・インド国内のITサービス産業の売上高は310億ドルに過ぎなかったが、グローバルサービスの産業は6000億ドルに達した。
・インドのIT産業は雇用面でも大きな影響を持つ。IT産業で直接雇用されている人数は160万人ほどであるが、関連産業も含めると、さらに600人の雇用を創出していることになる。
・IT産業はインドのGDPの5.2%に寄与している。
・インド企業が海外へ進出するケースも増えている。グローバルITサービス及びアウトs−シングサービスプロバイダーのリーディングカンパニーであるセンサーテクノロジー(Zensar Technologies)は、グダニスク(Gdansk)を中心としてポーランドでも操業を開始したことを発表した。インドのアウトソーシング企業がポーランドにこのような類の施設を置くのは初めてのことである。


成長の要因
 ナスコム社の調べでは、インドのサービス輸出は様々な要因によって支えられている。その例として下記のものが挙げられる。
・ADMのような伝統的なサービスへの大きな需要がある。
・EAIやパッケージインプリメンテーションのような新しいサービス。
・エンジニアリングサービスのような新しい領域。
・グリーンフィールド、国外企業とのM&A、パートナー契約などを通じて、インド企業のグローバルサービスデリバリー能力が高まっている。
・マイクロソフト(Microsoft)、オラクル(Oracle)、SAPといったグローバルソフトウェア製造における大企業が、自社の開発センターをインドに設立した。
・多国籍IT企業のリーディングカンパニーがインドで操業している。
・国内のIT企業の支出を増加させている要因は主に、ITインフラ、ビジネスアプリケーション、セキュリティ製品及びサービス、ITアウトソーシング関連企業の投資、また携帯機器やデジタル製品(デジカム、ノートPC、ハンディ機器)の消費である。


研究開発
インドは、世界最大級のIT企業のうちの数社にとってのR&Dハブとして急成長してきた。新規のR&Dセンターへの投資のうち25%は国が呼び込んだものである。オラクル、インテル(Intel)、アドビ(Adobe)、STマイクロエレクトロニクス(STM)、SAPなどの様に、多くの場合、彼等がインドに設立したR&Dセンターは、米国やヨーロッパ以外では最大のものである。

IBM、テキサス・インストゥルメンツ(Texas Instruments)、デルフィ(Delphi)、HP、マイクロソフト、グーグル(Google)、シスコ(Cisco)などは、最先端の調査のために、インド国内での人材開拓に力を注いできた。IBMインド研究所のディレクター、ダニエル・ディアス(Daniel Dias)氏は「インドは人材の宝庫だ。その結果、多くの企業がR&Dのためにインドに進出してきている。」と言う。

一方、既に進出済みの企業は、インドに多くの投資をしてきた。例えば、次のようなものが挙げられる。
・SAPの設立した研究所は、本社のあるドイツ以外では、世界で最大のものである。
・半導体デザインを行う米国企業のシノプシーズ(Synopsys Inc.)は、インドでの操業のために500億ドルを投資する予定である。
・ブルートゥースやFMレシーバーなどの家庭用のワイヤレス機器を製造しているCSR(Cambridge Silicon Radio)社は、英国以外で最大のR&Dセンターをインドに設立した。
・アドビ・システムズはR&Dのためにインドに900人を配置している。これは米国以外では最大の人数である。
・ICチップメーカーのインテルはインドに3,000人のスタッフを抱えており、R&Dの大多数がここで行われる。例えば、ナパ(Napa)と呼ばれるCentrinoチップのデザインもそれに該当する。
・多くの企業がインドへの投資を行っている。その多くは、R&D関連の施設に向けられている。通信IT省に集められたデータによると、投資計画の概要を報告した28企業のうち、17企業は既に資本投下を行った。また、そのうちの6企業は実に10億ドルを超える投資を行う。シスコは11億ドル、セミインディア(SemIndia)は30億ドル、インテルは12.5億ドル、マイクロソフトは17億ドル、IBMは60億ドル、SAPは10億ドルを投資する。

こうした状況下で、個人投資家の間でもIT/ITeS部門はポピュラーになってきた。チェンナイに拠点を置きPE調査サービスを行うベンチュアー(Venture)の調べによると、2007年4月から6月に5億5千万ドルを超える取引が行われたということだ。


政府主導
・2006年12月5日に国会に提出されたIT修正法案では、情報技術アプリケーションやそれらと関連したセキュリティプラクティスなどに投資されることになった。さらに、UNCITRALの推奨する電子署名のモデル法の様な、IT法の情報中立性に関する問題にも踏み込んでいる。
・電子機器及びITハードウェア製造政策は、次のようなことを目的に練られている。
・資本財や資本投入に対する関税の構造を合理化する。
・国内市場と輸出向けの製造を統合する。
・国際特許登録を手助けする。
・最先端技術を流入させる。
・R&Dの強化。
・IT産業の利益を他の多くの人々が享受できるようにするために、政府が、ツールやフォントを自由にインドの様々な言語に対応できるようにすることを奨励している。タミル語、ヒンドゥー語、テルグ語向けのソフトウェアやフォントは既にリリースされている。来年には、インドの全言語がカバーされることが期待されている。
・ITやITES産業の郊外への参入を促進するために、政府は10万のコモンサービスセンター(CSC)を郊外に設立する提案をした。CSCは最新の政府サービスを提供するだけではなく、インド郊外をWWWと接続する機能も果たす。計画の詳細は、PPP(Public Private Partnership)を通じて精査される。


今後の展望
ナスコム社の調査によると、以下のようなことが分かる。ITソフトウェア及びサービス全体で25−28%成長し、2008年度には収益500億ドルに達する。このうち280−290億ドルが輸出によるものである。国内市場は20−22%で成長し、100億ドル規模になるであろうと予想される。またデータクエスト社の「The Dataquest-IDC MegaSpender 2007」によると、2007年度の企業のIT関連支出額は26%成長して22億ドルに達するということである。

ナスコム社長キラン・カルニック(Kiran Karnic)は、既存のビジネスと新たなサービスが成長することで、インド市場は3,000億ドル以上の規模になると考えている。産業の成長により、IT部門は50万人近い専門家を必要としている。IDCの報告では、毎年18%で成長し、2011年までにIT-ITESは1,000億ドル以上の産業規模になると見込まれている。

ガートナー社(Gartner Inc.)は、2010年までに世界のテスティングサービス市場は130億ドル規模に成長するとしているが、そのうち45−50%はアウトソーシングされるであろう。インドのIT-BPO企業は2006年には、テスティングサービスのアウトソーシングによって2.8億ドルの収益を上げた。したがって、インドのIT-BPO企業には、大きなポテンシャルがあると見られている。

*IT産業のGDPへの寄与(2006年度の経済調査から)


IT産業のGDPへの寄与は、1999年度に1.2%であったが、2005年には4.8%に上昇した。インド企業の多くは、内部手続きをISOやCMM、6シグマといった国際基準に合わせて調整している。これにより国際的な信頼を得ている。2006年12月には、400以上のインド企業がSEI CMM Level 5を取得している80社による品質保証を獲得した。これは世界で最大数である。

 

Translator: Takashi AKAHOSHI

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